旧西尾家住宅(110年住宅)を見れば、社交的な人のベストな住まいがわかる

大阪府吹田市にある110年以上もの歴史のある住宅「旧西尾家住宅」を研究しに行きました。
明治中期に建てられ、その後、何度かの増築を経て現在の姿になったそうです。
「110年住宅」ですね。

ここは、旧仙洞御料(せんとうごりょう)庄屋の西尾さんの住宅です。仙洞とは、天皇を譲位した上皇のこと。御料とは、高貴な人の所有物の意味ですが、ここでは上皇の所領地のことです。ですから、上皇の所領地を管轄するマネジャー、西尾家の住宅というわけです。

ここから皇室や伊勢神宮の新嘗祭などに米や野菜のお供え物を献上してきたそうです。近くにアサヒビールがあります。これも、この地域が、上皇の所領地に値するほど、水がよい、豊かな土壌であったことを示しています。

この旧西尾家住宅は茶の湯の精神を感じさせる屋敷でもあり、主屋・離れ・蔵などとともに、複数の茶室で構成されています。敷地は1400坪を誇り、主屋の延床面積は198.6坪にも及びます。大変裕福な家であったことが伺えます。

旧西尾家住宅(110年住宅)、住まいを見ると?

この住宅は、いわゆる地域のリーダー、庄屋さんの住宅です。
たしかに豪邸ではあるのですが、その構成は大きく2つに分けられます。
「公(パブリック)」と「私(プライベート)」です。

現在のほとんどの住宅は、「私(プライベート)」メインのものです。
たいていの家庭で、客人をお招きすることはほとんどありません。
たまに、気の合う仲間、友人が家を訪問するくらいです。

ですが、この西尾家住宅は違います。
「公(パブリック)」メインです。
母屋棟には、家族の居住スペースがあります。居住スペースの一部。他の部分に比べると、狭い印象です。

しかし、その3倍以上のスペースが母屋棟の大座敷として、客座敷が3つ並んでいるのです。床の間、違い棚、書院を設け、欄間にも菊の彩色をほどこしたものです。

上座の座敷。

これらはすべて、「公(パブリック)」スペースです。
「公(パブリック)」スペースは他にも、仕事をしていたとされる玄関棟、米などの計量を行った計量部屋棟、茶室、離れなどがあり、ほとんどのスペースを占めています。

茶室外観。

茶室の内部。

旧西尾家住宅そのものが、西尾家にとってオフィススペースであったと同時に、客人を招くことを前提とした住宅であったことがわかります。

座敷をつなげて。

もちろん、この住宅は地域のリーダーの住宅ですから、普通の住宅とは違います。
普通の住宅は、昔はとても小さく、客を招くこともありません。

ただ、この旧西尾家住宅は、その性質上、客人を招くことを中心としたつくりになっているのです。

このことは、現代でも共通する部分は大いにあります。

たとえば、客人を招く機会の多い、経営者の方の住まい。取引先や友人、知人を家に招くことの多い、セールスパーソン(営業パーソン)の方の住まい。大変社交的で、友達や仲間を呼ぶことの多い、社交的な方の住まい。

このような客人を招くことを中心に考えられる方にとっては、旧西尾家住宅のつくり、考え方は大いに参考になります。それは、歴史的に検証されたものだからです。

旧西尾家住宅の外観です。屋根は若干のむくり屋根です。

人の営みは、技術の差こそあれ、基本的には変わっていません。地域のリーダーとして、社交的に客人を招く必要のあった旧西尾家住宅。そのエッセンスは、現代の住まいづくりにも応用できると思います。

旧仙洞御料庄屋 旧西尾家住宅(吹田文化創造交流館) 
【所在地】吹田市内本町2-15-11 TEL(06)6381-0001
【アクセス】JR吹田駅または阪急吹田駅より徒歩約10分
【開館時間】9:00~17:00 入館無料  ※駐車場はありません



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