竹内正浩

アトピー性皮膚炎の私(後編)

前編の「アトピー性皮膚炎の私」に続きをお話させていただきます。

私のアトピーの原因

私の場合、血液検査をしたあと、原因がわかったのがよかったです。
私のアトピー悪化の大きな原因(アレルゲン)は、ダニ、ハウスダスト、そして、犬のフケだったんです。

そのころ、犬を飼っていたんです。
もう、寿命でいなくなってしまいましたが、当時、愛犬がいたんです。

「レオ」という名前の犬です。
キャバリア・キングチャールズ・スパニエルという犬種で、本当にかわいい愛犬でした。
本当にかわいくて、好きだったんです。
しかし、そのレオが悪化の原因だったんですね。

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルと住宅

だからといって、レオをどうすることもできませんから、同じ家のなかではありますが、極力、距離を置くようにして、接触しにくいようにして、それで、徹底的に掃除して、対処しました。

原因がわかったので、原因からは距離を置くようにして、あとは薬剤で治療をしました。

アトピー性皮膚炎の薬剤治療

それで、ひどかったので、やっぱりステロイドを使いました。
アトピー治療では、ステロイド(副腎皮質ホルモン剤)の副作用についてよく語られていますので、わかってはいたんですが、どうしようもない状態だったので、使いました。

詳しい内容は忘れてしまったのですが、たしか「リンデロン」だったので、ステロイドのレベルとしては、「ストロング」から「ベリーストロング」なので、まあまあひどかったと思います。「ストロンゲスト」ではなかったです。あとは、ヒルドイドソフト(保湿剤)で保湿するという感じでした。

さすがにステロイドの効きはすごくて、眠れるようになりましたし、良くなった感じになりました。
ただ、やっぱり根本治療でなく、対処療法ですから、本質的に良くなったわけではないですが。

そこから、症状が小康状態になって、安定した感じになりました。

ただ、その後、若干悪化したことがありました。そのときに使ったのが、「プロトピック」です。※

※プロトピック軟膏
1999年に発売されたアトピー性皮膚炎の治療薬。
外国で臓器移植の際、拒絶反応を抑制するために使用される免疫抑制剤、タクロリムス(商品名;プログラフ)を軟膏にしたものです。プログラフは、腎障害、高血糖、高カリウム血症、胸痛、振戦などの副作用が知られています。世界でも始めての免疫抑制剤の軟膏です。

「プロトピック」をつけると、最初、ヒリヒリする感じがして、結構、違和感がすごかったですが、たしかにだいぶよくなりました(免疫抑制効果があるので、ヒリヒリ感、ピリピリ感、灼熱感があるそうです)。

一般的に言われていることをお伝えしておくと、プロトピック(タクロリムス)は、ステロイドに比べて分子量が大きいため皮膚へ吸収されにくいという点があるそうです。ただ、ステロイドのような副作用(塗った部分の皮膚が薄くなるなど)はないということです。

それで、強めのステロイド剤を使用して大まかに治療した上で、ある程度良くなった皮膚状態が再度悪化しないようにプロトピックを使っていくというのが、新しいアトピー性皮膚炎治療のスタンダードになっているというわけです。

そういう経緯を経て、現在に至ります。

現在でも、やはりまだアトピーは根治しておらず、小康状態を保っているという感じです。
状況としては、極力アレルゲンを避けて、部屋やいる場所をきちんと掃除して、ダニやハウスダストに触れないような環境をつくるようにしています。
ダニ、ハウスダストに触れると、今でも再び、かゆくなり、悪化する状態ではあります。

アトピー性皮膚炎と住宅・家づくり

以上のお話が、私自身の体験です。

それなりにアトピー性皮膚炎患者として、色々と経験してきたことはあります。
人とは違う部分で、他人からとやかく言われることもあります。
周囲の理解がなく、悲しい思いをしたこともあります。

まだ私の症状は、同じアトピー患者のなかでも、中から下くらいのレベルだと思います。
もっと深刻な方は多いです。

ただ、私自身がその一人として、また、住宅業界にいる者として思うことがあります。

それは、真に健康な住まい・住宅をつくっていくということです。

世間的な響きの「健康な住宅をつくる」はよくあります。

しかし、つくっている側はその意味を甘くとらえているように感じてなりません。
つまり、健康な健常者の立場から、自分は安全な立場から、「健康」を謳っているように思うのです。

なぜ、そう思うのか。

それは、私自身がアトピー性皮膚炎の重症化を経験したとき、たくさんの健康な人から「健康」について色々と語られてきたからです。もちろん、それらは善意です。よかれと思って、発言していることでしょう。

しかし、当事者としては真剣に治したいのです。夜も眠れないほどひどいときもあるのです。つらい思いをしたことがない人間が、何を述べるか。その発言は本当に有益なのか。

実際問題として、軽卒な発言なのです。

だから、私は上っ面の「健康な住宅をつくる」ことは嫌です。
真に心も身体も健康につながるような住宅をつくっていきたいです。

もちろん、現時点ではそれは困難なことです。
理由はいくつもの複合的な要素でからまっています。
ひとつは国の規制。建築基準法や住宅ローンを組む上での標準的な仕様があります。それが規制です。規制に沿わなければならない以上、突飛なことはできづらい環境です。

また、建築資材メーカーの都合もあります。大量生産、大量消費だからこそ、コストダウンできる部分も多いです。なかなか消費されないけれどもいい建材は高額になります。それを使えるかどうかは予算にもよります。

さらに「真の健康な住宅」は何によってもたらされるか、という点が不明瞭です。
短絡的な観点では、化学物質をできるだけ使わないようにする。これは現時点でも対処できます。
しかし、精神的な面での影響、健康に良好な影響を与える建材の使用などはまだわかっていない部分です。

たしかに完璧ではない状態です。
しかし、少しずつでも意識して、前進していくことで「真に健康な住まい・住宅をつくっていく」ことを目指していきたいと思います。