ドラッカー名著集13 マネジメント[上]―課題、責任、実践 P.F.ドラッカー (著) #207

「第8章 目標」という項目について、まとめてみました。

要約

1.社会革命をミッションとする
マークス&スペンサーは、自分たちのミッションは勤労者階級に対し、上流階級の品物を上流階級のそれよりも優れた品質と、彼らにも手が出せる価格で提供することによって、イギリスの社会階級を打破することであるとした。

同社が成功したのは、「われわれの事業は何か。何であるべきか」の定義を意味ある目標にまで具体化したからだった。

2.マークス&スペンサーの教訓
1)目標とは「われわれの事業は何か。何になるか。何であるべきか」という問いから導きだされるものである。抽象的であってはならない。
2)目標とは、行動のためのものである。
3)目標とは、資源と行動の集中を可能にするものである。
4)目標とは、一つではなく複数のものである。
5)目標とは、事業の成否に関わる領域すべてについて必要である。

目標は次の八つの領域において必要とされる
1)マーケティング
2)イノベーション
3)人的資源
4)資金
5)物的資源
6)生産性
7)社会的責任
8)必要条件としての利益

これらの領域についての目標が五つのことを可能にする。
事業の全貌の把握、個々の活動のチェック、とるべき行動の明示、意志決定の評価、現場での活動の評価と成果の向上。

3.すべての基盤
目標は、事業の構造、活動、人事の基盤となるものである。全体の構造だけでなく、個々の部門と個々の仕事の内容を規定するものである。

4.目標の使い方
目標の使い方は、航空便の運行計画や飛行計画と同じである。運行計画では午前九時ロサンゼルス発、午後五時ボストン着であっても、ボストンが吹雪ならばピッツバーグに着陸して天気が収まるのを待つ。飛行計画では高度三万フィート上昇し、ミネアポリス経由に変える。
しかし、運行計画や飛行計画抜きの運行はない。あらゆる変更が新たな運行計画と飛行計画をもたらす。運行計画どおり、飛行計画どおりの運行が九七%を下回れば、フライト・マネジャーが更迭される。

目標は絶対のものではない。方向づけである。未来をつくるために、資源とエネルギーを動員するためのものである。

コメント

1.常に目標を設定している企業のうち、成果をあげている企業と成果をあげられない企業の差は何か?

2.過度の目標設定そのものが、個々の目標の価値を希薄化させるのではないか?

3.きちんとした計画策定者は事業の全貌の把握、とるべき行動の明示、意志決定の評価、現場での活動の評価と成果の向上を達成できると思うが、計画策定者以外の一般社員レベルにまで落とし込む場合、どうすればいいか?

4.目標達成のために無理をする、歪ませるリスクがあるのではないか?

以上のようなことについて考えてみました。



うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ 平康 慶浩 (著) #205

最近、ビジネス書を読むことが減りました。
最大の理由は、住宅建築の仕事に関わることで、住宅建築関係の書籍を大量に読むようになったからです。
本ブログでは語られていませんが、裏側ではたくさんの住宅建築関連書籍を読んでいます。

もうひとつの理由は、私自身が自分が一番知りたいことを知るために、30代で年収3000万円を実現した111人に直接取材して、本を書いたことです。一番知りたいことを知ったわけですし、それを本にまとめられたからです。大きく知りたいことが減ったわけです。

とにかく、高所得者が生まれる仕組み、成り立つ仕組み、オーナー会社の実態、所得を増やしていくまでのストーリーに触れてきました。

その結果、得られた情報は多かったです。
ただ、まとめたのはあくまで独立・成功系の話がほとんど。

勤め人として給与を増やすアプローチについては、データレベル。
確固たる理論としてまとめてはいませんでした。
ざっくりと、おおまかな把握程度でした。

しかし、最近、その答えがきれいにまとめられている本を見つけたので、ご紹介します。

『うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ』

これは素晴らしい一冊だな、と感じました。
勤め人はもちろん、経営者側の方にも得られる知見は多いと思います。

給与の増やし方は具体的にどういう方法か?

大きく勤め先企業は4つのカテゴリに分かれます。
それぞれのカテゴリでアプローチは異なります。

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1.「普通の企業」の場合の給与の増やし方

あくまで「普通の企業」の場合。
基本は「定期昇給で給与を増やす」アプローチです。

そのアプローチは具体的に何をすればいいかというと、3つ。

1.できるだけ誰かと一緒に仕事をする=一人で仕事をしない
2.君の評価をする人に直接報連相する=メールでの報連相だけで終わらせない
3.品質よりもスピードを重視して仕事をする=自己満足のための品質を追い求めない

2.「ブラック型企業」の場合の給与の増やし方

「ブラック型企業」の場合、つまり、人件費をコストとしてとらえて、その昇給を厳しく制限している企業の場合。
基本アプローチは「昇進で給与を増やす」。

具体的な方法論は以下の3つ。
1.自分の給与を含めたコストの減らし方を考える=給与は増えないものと割り切る
2.売上を増やす活動に力を注ぐ=単純作業で人を育てる
3.上司の仕事を真似る=できない上司でも上司になっている理由があることを理解する

3.「業績悪化型企業」の場合の給与の増やし方

「業績悪化型企業」の場合、基本アプローチは「配置転換で給与を増やす」。
具体的な方法論は以下の3つ。
1.武器を作る=マネジメント系の専門性が最良の武器になる
2.スポンサーをつくる=少なくとも一人の役員を味方につける
3.社外の知人/友人を増やす=社内の孤独に耐えられる状況をつくる

4.「二重苦企業」の場合の給与の増やし方

「ブラック型企業」で「業績悪化型企業」の「二重苦企業」の場合。
普通の会社への転職を目指すこと。

ほかにも業種別の給与の増やし方、職種別の給与の増やし方、職務経歴書の書き方(転職の進め方)などなど参考になる情報がたくさん。

方法論を見ていくと、30代で年収3000万円の人が勤め人時代にしていた行動パターンを彷彿とされる、よくみられるパターンが描かれていることに気づきます。

年収の多寡は違えども、行うべき方法論・アプローチは同じなのだと感じます。

素晴らしい一冊。



ドラッカー名著集13 マネジメント[上] P.F.ドラッカー (著) #199

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先日、大学のゼミOB会があり、その課題図書であった本書「マネジメント」の読書感想文を書きたいと思います。

少し前、「もしドラ」で親しまれた「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」が200万部を超えて売れたことから、ドラッカーブームが起こりました。

その「もしドラ」の元が本書「マネジメント」です。

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英語版ペーパーバックと日本語版

さて、私がドラッカー氏に対して、敬意を抱くのはその「定義付け」についての深い洞察です。

マネジメントは方向づけを行う。ミッションを決める。目標を定める。資源を動員する

マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させるうえで三つの役割がある。
それら三つの役割は、異質ではあるが同じように重要である。

(1)自らの組織に特有の目的とミッションを果たす。
(2)仕事を生産的なものとし、働く人たちに成果をあげさせる。
(3)自らが社会に与えるインパクトを処理するとともに、社会的な貢献を行う。

実際問題として、マネジメント層とされる方が自身でその役割、定義について理解しているとはかぎりません。
日常業務の延長線上での仕事としてのマネジメント業務である場合が多いです。
また、マネジメント業務において、何をすべきか、何の役割を担うべきかを理解して、行動しているとはかぎらないのです。

上記の話は上巻で400ページ超えの本書の一端です。
厚みのあるドラッカー氏の著書には、その英知がこめられていると感じます。



「新賢明なる投資家 上下」 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 ベンジャミン・グレアム (著) #198

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世界的に有名な投資家であるウォーレン・バフェット。
その彼の師匠という存在が、本書『賢明なる投資家』の著者、ベンジャミン・グレアムです。

ウォーレン・バフェットをして「株式投資の本では過去最高の傑作だ」と言わしめているみたいです。

ベンジャミン・グレアムのアプローチは今では大きく「バリュー投資」として知られています。

「バリュー投資」はその株式の価値を算定して、それよりも低い価格で買うアプローチです。
低い価格で買うことで、低リスクを実現できます。
また、価格が正常化するまでの期間、保有することになりますので、長期投資の戦略であります。

ベンジャミン・グレアムの教えは大きく3つのポイントがあります。

1.株式は企業の一部
2.市場の変動に乗るのではない
3.「安全域」を考慮すること

1.株式は企業の一部

株式投資、というと財テクやバクチのように感じられる方もいらっしゃるかと思います。
ただ、株式投資というものは、本質的には、とある企業への投資と同義なのです。

それは、株式とは単なる紙切れではなく、その企業の所有権の一部を意味しているからです。

たとえば、コカ・コーラ(発行株式数:約22億5000万株)の株式を1株買ったとします。
それはつまり、コカ・コーラ社の所有権の約22億5000万分の1の割合で保有している、という意味なのです。

株式は単なる紙切れではなく、企業の所有権の一部であるわけです。その意味合いは想像以上に深い意味です。

2.市場の変動に乗るのではない

次のポイントは「市場の変動に乗るのではない」ということです。
市場の変動に乗るのではなく、当初の方針を愚直に貫くことが肝心だというわけです。

もちろん、株式市場では常時、価格が変動します。
ただ、ベンジャミン・グレアムは「市場の価格変動を予測して、利益をあげることはできない」と述べます。

市場の価格変動は、あくまで人気投票の結果としての変動です。
市場参加者の感情や人気、雰囲気によって変動します。

それに乗るのではなく、あくまで自分自身の方針、投資方針を愚直に貫き続けることが大切なわけです。

3.「安全域」を考慮すること

ベンジャミン・グレアムは堅実な投資の極意を3つの単語で言い表すと「安全域(Margin of Safety)」になると述べます。

「安全域」とは、株価がその株式の評価価値よりも安い状態であった場合のその差を意味します。

100円の価値がある株式が株価50円で手に入るとすれば、その50円が安全域です。
これが大きければ大きいほど、割安であり、リスクも下がります。
過小評価されているというわけです。

アグレッシブな投資ではないかもしれません。
ただ、堅実で、リスクの低い投資を目指されるのであれば、「バリュー投資」ベンジャミン・グレアムの書を紐解くのもよろしいかと思います。



<新訳>バビロンの賢者に学ぶ錬金術 ジョージ・サミュエル・クレーソン (著) #196

いきなりタイトルに「錬金術」とありますように、本書は「お金本」です。
ただ、内容は至極、真っ当で賢明な「貯蓄本」なのです。

私はこれまでの人生で書籍を2000冊以上は読んできました。
そのほとんどは俗に言う「ビジネス書」「金融関連書」です。
テーマがビジネスのこと、会計のこと、金融(ファイナンス)のことです。
株式、債券、投資といったテーマが金融です。

もちろん個人の家計問題についても、それなりに多く読んできました。
パーソナル・ファイナンス分野と呼ばれます。

この個人の家計問題に関する本のなかで、私個人がベストに位置すると勝手に思っている一冊がこの「バビロンの賢者に学ぶ錬金術」です。

私個人が本書の著者、ジョージ・サミュエル・クレーソンのことを知ったのは「バビロンの大富豪」という本でした。

正直、本書「バビロンの賢者に学ぶ錬金術」と内容はほぼ一緒です。
それはおそらく本書がアメリカで1937年?くらいに出版されたことから、著作権切れしたことで、出版されているからではないか、と思っています。
最初に出版されてから75年くらい経っている計算です。

同じ感じで、ほぼ内容が一緒という本が何冊か出ています。

とにかく、「バビロンの大富豪」と「バビロンの賢者に学ぶ錬金術」は内容はほぼ同じです。
それはとにかくいいのですが、内容は絶品です。素晴らしい。

内容をお話させていただくと、非常にベーシックでシンプルなことが書かれています。
もし、シンプルでベーシックな話が嫌いなら、本書は合わないでしょう。
ただ、根本的な話、本質的な話はいつの時代もシンプルです。単純なことです。

それは法則のようなもので、どの時代、どの国でも同じです。変わりません。
もし、そういう法則に興味があるのでしたら、本書はベストな本になるでしょう。

さて、内容でした。

本記事の最初にお話したように、本書は「賢明な貯蓄本」です。
ですので、本書を読んで実行した効用は「1 お金が貯まる」「2 資産家になれる」でしょう。

ルールはシンプルです。

・稼ぎ以下の金で生活する
・その道の経験者から助言を請う
・お金を賢明に運用する

これらのことについて、詳細に語られています。

「稼ぎの一部を自分のために取っておく」

これが「稼ぎ以下の金で生活する」ということ。

「黄金は、稼ぎの十分の一以上を自分と家族の財産作りに充てる者に、すすんで集まり、数を増す」

収入の十分の一を着実に貯め続け、賢明な投資に役立てる者は、価値ある資産を必ず作り出すということです。
そして、蓄えたお金は投資に回す。

ただ、注意すべきなのは「その道の経験者から助言を請う」ということです。

本書ではこう語られています。

「レンガ職人に宝石の知識を頼るべきではない」
「星の知らせを聞くためにパン屋に行くべきでない」

「宝石のことは宝石業者に聞け」
「星の知らせを聞くには、星占い師に聞け」

「君の貯める金貨はどれも、君のために稼いでくれる奴隷だ。それが稼ぐ銅貨は子供だ。これも君のために稼いでくれる」

「富は木と同じく小さな種から育つのだ。君が蓄える最初の銅貨が富の木を育てる種になる」

加えて、借金返済の心得についても語られています。

「十分の一を自分のために蓄え、十分の七を生活のために妻と分け、十分の二は銅にして貸主に公平に分けた」

収入を100とすれば、70%が生活費。20%がローン(借金)返済。10%は貯蓄。
このような比率で家計を維持していくことで、借金もきちんと返済でき、また、貯蓄も貯まる、資産形成もできるというわけです。

これは、住宅ローンを返済していく上での目安にもなります。
きちんと住宅ローンを返済し続けると同時に、自分たちの資産形成もきちんと行っていく。

素晴らしい人生を送るためのひとつの指針となる一冊だと思います。
私のベスト本のひとつです。