シロアリに対するでんホームの考え

シロアリ(白蟻)研究と対策について でんホームの考え

住宅にとって、いくつかの脅威が存在します。
地震、台風、火災、そして、シロアリ(白蟻)です。

地震は耐震性を高めることで、ある程度カバーできますし、地震保険もあります。
台風は福岡エリアでは、そこまで甚大な被害はこれまでなかったと思います。
火災はご自身での予防ができますし、万一のことがあっても火災保険があります。

それでは、シロアリ(白蟻)はどうでしょうか?

住宅・家屋にシロアリが侵入すると、木造住宅の木部を喰われてしまいます
見た目には、少し変わったくらいに見えても、実際には木部の中はスカスカ。

主要な構造部がシロアリに喰われてしまうと、住宅は大きな被害を受けます。
修繕や改修に大きなお金がかかることになります。

ただ、シロアリについても、防蟻措置を行うことで、被害を受けないようにしていくことが可能です。
また、適切な処置を行う会社は、一定のシロアリ保証をします。

ただ、地震、台風、火災といった比較的身近なテーマとは異なって、
「シロアリ」といわれてもそこまでイメージがわかないかもしれません。

シロアリとは、一体、何なのでしょうか?

シロアリ(白蟻)とは、昆虫綱ゴキブリ目シロアリ科の生物です。
社会性を持った昆虫で、羽アリの前後の羽根の大きさや形がほぼ同じことから
「等翅目(とうしもく)」というグループを構成しています。

シロアリは「白いアリ」ということではなく、ゴキブリに近い昆虫です。
世界には2千種類以上ものシロアリが住んでいるといわれます。

日本で代表的なヤマトシロアリやイエシロアリは
ミゾガシラシロアリ科に分類され、下等シロアリと呼ばれるシロアリ科です。

シロアリがなぜ、住宅の害虫か?

シロアリ(白蟻)は住宅の害虫とされます。
それは、住宅の木部を喰べるからです。

これは、ある意味、驚くべき特徴を示唆しています。

つまり、シロアリは「木を食べる」のです。

多くの生物はたとえば、でんぷん、グリコーゲン、単糖類などを分解する酵素を生産することができます。
人間も、お米を食べてそれを消化・分解するからエネルギーが得られます。

しかし、細胞壁のセルロースを分解する酵素を生産できる生物は限られています。
そのひとつが「シロアリ」なのです。

シロアリは木材を食べると唾線から、セルラーゼ(セルロース分解酵素)を分泌します。
ただ、木材の主成分である天然セルロースはほとんど分解されずに、後腸に行きます。

後腸内の原生動物(鞭毛虫)は原虫性セルラーゼを放出し、
木材は天然セルロースから低重合セルロースへ分解され、
最終的にグリコーゲンの形で鞭毛虫の体内に蓄積されます。

そのグリコーゲンは鞭毛虫を養い、その代謝産物は体外に排出されます。
つまり、シロアリの後腸内です。

その一部はシロアリの腸壁から吸収され、一部は肛門食の形で排出され、若齢幼虫などの栄養源になります。
シロアリはセルロースの74-99%を消化することができます

このようなプロセスで、シロアリは木材を食べることができる生き物なのです。
木材を食べ、細胞壁を分解することができることから、
住宅の木材がターゲットとなると、食べられて被害が起きるということとなるのです。

そういうわけで、私たちの住宅は
シロアリの脅威にさらされているわけです(シロアリにとっては迷惑な話かもしれませんが)。

それで、シロアリに対抗するためには、相手のことをもっと詳しく知る必要があります。
相手のことを知り、対策を打つことで効果的な対処がとれるというものです。

ここでは、シロアリ(白蟻)の生態について、もっと詳しくみていきたいと思います。

シロアリ(白蟻)の社会はどうなっているか?

シロアリはすべて巣を作り、
そこに雄・雌、その子孫で構成される家族集団(コロニー)が生活しています。

一カ所のコロニーには数百万もの個体が生活しているといわれます。

それぞれの家族には、兵蟻と職蟻と呼ばれる
不妊の個体が含まれ、これらは巣の防衛や育仔などに専念しています。

ちなみに、このような世代の重なり、共同育仔、生殖個体と非生殖個体への分化
という3つの特性を合わせ持つ昆虫を真社会性昆虫と呼ぶそうです。

また、シロアリは熱帯に集中して存在し、植物の細胞壁を食べることで生きています。

染色体数はシロアリでは雄・雌ともに2n。
単雄・単雌がつがいでコロニー創設を行います。

シロアリは結婚飛行(群飛)後に交尾を行い、
外交配とともに、巣内個体間の内交配が交互に繰り返されます。

アリが「卵」「幼虫」「蛹(さなぎ)」「成虫」という完全変態をたどるのに対して、
シロアリは「卵」(幼虫)「ニンフ」「成虫」という不完全変態をたどります。

コロニーの構成は、王、女王、兵蟻(雄と雌)、職蟻(雄と雌)で構成されています。
副生殖虫もいますが、これは第一次生殖虫が除かれたときにコロニー内に出現し生殖を行う虫のことです。

また、シロアリは有翅虫を除いて複眼が退化しており、視覚はほとんど使われません。

兵蟻はコロニーの防衛に専念する存在です。
無翅、変形した口、退化した複眼を持ちます。
捕食者に対抗します。

兵蟻の割合はコロニーの成長に伴って変化しますが、
平均的な数値としては、イエシロアリで2%前後から5%前後といったところです。

ちなみに、コロニーの最終的な防衛方法は
コロニーの構成員が有翅虫となり、新天地に飛び立つことです。

職蟻は翅がなく、複眼を欠き、生殖と防衛活動を除く、
食物の採取、生殖虫・ニンフ・幼虫・卵の世話などコロニー維持にかかわる仕事をする存在です。

シロアリの食生活はどうなっているか?

シロアリは前述のように数百万もの個体が一カ所に集中して生活しています。
そのため、食物を効率よく採集し、家族間に効率よく配分することが重要となってきます。

そこでシロアリは栄養交換という方法で、自分で食物のとれない個体へ給餌しています

まず、職蟻や擬職蟻は自分で餌を取ります。
一方で、生殖虫、幼虫、兵蟻は彼らから餌をもらいます。

この受け渡しされる食物は、唾液、前腸からの吐き戻し物、肛門からの後腸排出物の3つに分類できます。

吐き戻し物は未消化物で木片などを含みます。
後腸排出物は消化産物と微生物を含み、通常の糞とは異なります。

このようなかたちで、栄養交換が行われ、生活しています。

シロアリは食物の摂取後、数時間で前腸と中腸を通過します。
大体13ー26時間で後腸を通り、排泄されます。

栄養交換による食物の移動の速さは放射性同位元素を用いた研究がなされており、
最初のコロニーのメンバーの10%がもっていた食物は
12時間後には全体の40%に、20時間後には70%に、35時間後には全体に広がります。

シロアリが餌をとるプロセスはどうなっているか?

シロアリが餌(木材)をとるプロセスはどのようになっているでしょうか?

この問いに対する答えは、シロアリ(白蟻)対策にとって重要です。

それは、とるプロセスを理解し、うまく利用することで、シロアリ予防(防蟻)、シロアリ駆除につながるからです。

さて、巣の外に出て餌を集めるシロアリの多くは、
地下道や地表に土・木くずなどに唾液や排出液をまぜて作ったアーケードを使って餌場に行きます。

ただ、前述の通り、シロアリの職蟻・兵蟻は複眼が退化しており、盲目です。
では、どのようにして位置を把握したり、情報伝達しているのかというと、化学物質を活用しています。

プロセスとしては、こうです。

・巣の出口として摂餌口を持ちます
・職蟻が摂餌口から地表に出ます
・兵蟻は摂餌口を守ります

摂餌口を出た職蟻は腹部を下げ、マーキング用の道しるべフェロモンを地面につけながら、摂餌口のまわりを輪を描きながら餌を探します。

・餌を見つけると、餌をもって摂餌口にまっすぐ戻ります
・その個体は餌を運ぶとそこに餌を置いて餌場にすぐ戻ります
・そのとき、腹部から道しるべフェロモンを地表に付けます
・動員された個体は道しるべに沿って餌場に向かいます
・摂餌口から離れると道しるべは弱くなり、迷う個体も出ます
・ただ、うまく餌を見つけた個体は上と同じ過程を繰り返します

・こうして餌と摂餌口との間の道しるべは強化され、摂餌行列ができるようになります

シロアリ対策はどうするか?

このようなことが、シロアリ(白蟻)の生態であるといえます。
では、これらの生態を理解した上で、どのような対策を打っていけばいいでしょうか?

シロアリ対策では、一般的に「薬剤散布」「薬剤注入材」「特定の樹種を用いる」を防蟻措置としてなされます

他の選択肢としては、比較的新しい手法「ベイト工法」もあります。

※ベイトとは「毒餌」のこと。
家の外周部に「毒餌(シロアリの成長抑制剤)」をセットすることで、
それを食べたシロアリが巣に持ち帰ることで駆除されていく仕組みです。

でんホームのシロアリ対策

でんホームでは、以下の3点をシロアリ対策として採っていきます。

1.「薬剤散布」or「薬剤注入材」or「特定の樹種を用いる」
2.定期点検
3.ピンポイント駆除

1.「薬剤散布」or「薬剤注入材」or「特定の樹種を用いる」

でんホームのシロアリ対策の基本は一般的なシロアリ対策処理を行います。

具体的には「薬剤散布」or「薬剤注入材」or「特定の樹種を用いる」のいずれかになります。
仕様・グレードによって異なります。

ご予算がおありな場合は「ベイト工法」をオプションとして選択いただけます。

「どれでもいいのか?」と思われたかもしれませんが、基本的な考え方としましては、
スタンダードなシロアリ対策をきちんと施して、
その上で次の2つのアプローチ「定期点検」と「ピンポイント駆除」をすることで、
長期的、継続的にシロアリ対策を徹底していくという考え方になります。

大切なのは「これを一回すれば完璧」というような、
決定的な一手というのがシロアリ対策においては存在しない、ということです。

一見、普通のシロアリ対策に見えますが、その根底に流れる考え方と、
長期継続的なアプローチを重要視しているところが違うかと思います。

2.定期点検

定期点検は定期的に家の周囲や床下、屋根裏を点検することで、シロアリの動きをキャッチして対処する方法です。

シロアリが家・住宅に被害を与えるには、木部に到達する必要があります。
「蟻道」といって、基礎などを通って上っていく道です。

目視で点検し、それらが発見された場合、駆除するという流れです。

もちろん、「蟻道」が発見された場合、シロアリの被害があることになりますが、
深入りする前に対処することで、被害を最小限にとどめ、駆除できます。

3.ピンポイント駆除

2でもお話しましたが、シロアリの被害を確認した場合、
ピンポイントでその集団にターゲットを絞り、駆除するというものです。

これは必要最小限の薬剤で駆除できます。

また、これらのシロアリ対策だけでなく、
でんホームでは設計上でもシロアリに侵入されにくい設計を心がけております。

以上が、でんホームのシロアリ対策に対する考えです。