なぜ、ナショナルチェーンは多店舗展開をするのか?

よく知られたナショナルチェーンは、チェーンというだけあって、全国的にとても多くの店舗を展開している。

たとえば、マクドナルドは日本国内で約3,800店舗を展開、すき家は1,463店舗を展開している。

これらを見ると、やはり売上高の拡大を目指して、多店舗展開をしていくといった要因が大きい。

1店舗売上が1億円なら、1000店舗で、売上高1000億円なわけだからだ。

だが、ナショナルチェーンが多店舗展開するには、他にもいくつかの理由がある。
それについて、今回は考察していきたい。

ナショナルチェーンが多店舗展開する理由その1.一等立地の確保

立地は重要だ。

人通りの多い場所に店があれば、人はふらりと入店することもある。
しかし、人がまったく通らないところにある店であれば、無理やり人を連れてこなければ、ふらりと入ってくれるような人もいない。

そうなると、立地がいいところであれば、自然と売上が立ちやすくなるということになる。

しかし、立地・場所・不動産というものは、ふたつと同じものがない。
銀座は銀座にしかなく、銀座のある場所が他の会社に占有されていると、そこを利用することはできないのだ。

これは、イス取りゲームに似ていて、ある場所を誰かが使っていると、そこは他の人は使えないのだ。

ということは、一等立地を競合他社に先駆けて、押さえておくということは重要になる。
なぜなら、とても魅力的な一等立地を他社が使えないようにすることでもあるからだ。
ある種の妨害、攻撃的な行為でもあるのだ。

ナショナルチェーンが多店舗展開する理由その2.コスト削減(コスト競争優位)

もうひとつの理由は、コスト削減のため、コスト競争優位を手に入れるためだ。
1店舗だけで経営しているのと、100店舗経営しているのとでは、色々とかかってくるコストが変わる。

たとえば、1000円の商品を1店舗経営では300円の仕入れだとすると、100店舗チェーンでは、100円の仕入れになることもある。

それは、もちろん、規模の経済で、100倍の仕入れ量になるのだから、それだけ安くなるわけだ。

こうなると、同じクオリティの商品でも、大きく価格が違ってくることになる。

安くて、いい品質の商品を大量に提供するという方向性でビジネスを展開している場合、この種のコスト削減・コスト優位性は非常に重要になる。

たとえば、牛丼の吉野家、すき家といった超多店舗展開のナショナルチェーンの品質で(店舗内装、立地含む)、1店舗だけを経営しようとすると、ものすごいコスト削減の努力をしていかないといけないことになる。

そこそこ食べられる1杯280円の牛丼を提供するために、どれだけのローコスト化が必要になるのか、想像するだけで困難さが伝わってくる。

このような理由から、ナショナルチェーンが多店舗展開するのだと考えられる。
いかにビジネスを戦っていくかの参考になりそうだ。



国際知識経済都市会議(国際地域ベンチマーク協議会 第3回会議)に参加。

国際知識経済都市会議(国際地域ベンチマーク協議会 第3回会議)が福岡で開催されたので、参加しました。

関係者ではないので、「国際知識経済都市会議」の公開プログラムのみです。

100-150名くらいの参加者で、たくさんの人がいました。

前列の関係者エリアには、九州大学の関係者、福岡市役所の方などが多いように感じました。

IRBC調査研究 基調プレゼンテーションとして『リサーチユニバーシティとナレッジリージョン』という講演。

スピーカーは、シアトルのLuis & Associates社長、Michael Luis(マイケル・ルイス)氏。

リサーチユニバーシティとは、教育とは関係ないリサーチがメインの活動である大学のこと。

知識経済都市に重要なコアは、三重らせん(Triple Helix)の構造であるそう。

1.地域政府
2.大学
3.ビジネス

1.地域政府が政策やインフラを整備することで、長期的な経済発展、経済持続性に寄与すべし。

2.大学は、内部でのインセンティブや報酬を以って、起業家的なイメージや分散されたファンディング(出資)、優秀な学生を惹き付けることで、知識都市形成に貢献できる。

3.ビジネスは、主に投資を担い、新テクノロジーへのアクセス、ビジネス転用性への貢献ができる。

これらによって、起業家、ベンチャーキャピタリスト、技術転用オフィス、インキュベーターなどで、イノベーションが起こる。

理論的なお話がメイン。

これから、福岡が知識都市として、もっとよくなるといいですね。

続いて、基調講演として、クオンタムリープ株式会社 代表取締役、出井伸之氏。

テーマは『九州から起こす日本大転換』。

Knowledge Community(知識コミュニティ)が大事というお話。

Knowledge Community(知識コミュニティ)はインフラシステムであり、下記の要素が重要となるとのこと。

・Smart Grid(スマート・グリッド)
・Alternative Energy(代替エネルギー)
・Knowledge Platform(知識プラットフォーム)
・Next Generation Internet(次世代インターネット)
・New Transportation(新しい交通機関)
・Water Supply(水道供給)

今後を見据えた方向性を立てなければなりませんね。



倒産した不動産デベロッパーに学ぶ

マンションデベロッパーになるルートは、次の通り。

1.マンションの仲介、または販売代行をする。
これは、つまり、元手をかけずに、マンションを販売していくということだ。
もちろんマージンは低いが、元手をかけず、営業の力を示す効果がある。

2.人脈から物件を仕入れて、販売する。
これは、1で種銭をつくった後、販売する物件を仕入れて販売していくということだ。
物件を仕入れることで、在庫リスクは増えるが、マージンは厚くなる。

3.仕入れる規模が大きくなっていく。
これまで、仕入れる物件も、マンション数戸程度であったのが、
マンション数フロアとなっていき、最終的には、マンション一棟を仕入れることになったりする。

4.自社で土地を仕入れて、デベロッピングし、販売する。
ここまでで蓄えた資金と銀行からの借金で、土地を買い、1年近くかけて建物を建築して、販売する。

ここからは、新興デベロッパーがたどりやすいルート。

5.デベロッピングによる成功で、大きな成長を遂げる。
たとえば、エスグラントコーポレーションの場合、年商179億円へと成長を遂げた。

6.売れない物件も出てくることで、在庫が積みあがる。
完売すればいいものの、すべてがすべて売れるとはかぎらず、売れない物件も出てくる。
そうなると、不良在庫が積みあがってしまうことになる。

7.仕入れた土地の価格が下落し、販売マンションに
利益が乗せられず、収支が狂う。

さらには、もし、土地の価格が下落局面であった場合、
デベロッピング用に仕入れた土地がその資産価格を減少させることになる。

販売マンションの価格には、もちろん、仕入れ値(土地の購入代金)分が含まれており、
それが現在に比べて高いということは、割高な仕入れ値であるが、それを価格に転嫁させなければならない。

しかし、マンションの販売価格はというと、周辺の価格と比べられるため、そこまでの値上げは困難。

であるために、マンションを販売していったところで、利益は出ず、収支が狂う。

8.かといって、人件費などの固定費の支出は必要となり、
状況はまずいがデベロッピングし続けないと、経営が回らなくなる。

土地の価格が下落しているときは、何もしなければいいのだろうが、
何百人も雇用していたり、自社ビル含めて、オフィスを借りていたりするのだから、
何もしなくても出て行くお金はあるわけで、売上を上げ続けるためにも、デベロッピングし続けなければ、なかなか回らない。。。

9.経営が厳しいところに、銀行の融資も渋くなり、資金繰り難になり、倒産する。

そうなると、やはりすべての計算が狂っていき、銀行も貸してくれなくなり、
かといって、マンションも売れず、含み損も増えていく。

ゆくゆくは、資金繰りに窮するようになり、多くは倒産への道をたどる。

デベロッパーというのは、巨額の先行投資を行い、
1-2年かけて、物件を完成させ、販売して、回収していくビジネスであるのだから、
土地の価格リスク、在庫リスク、資金繰り問題など、色々と難しい経営課題を背負っているモデルだと感じる。

参考文献:
ダイナシティの挑戦 鶴蒔 靖夫 (著)
1R(ワンルーム)男 杉本 宏之 (著)



タマホームの研究

■タマホームの拡大戦略

1.タマホームは、売上代金を早期に回収する。
工事進捗より早く、3分割?にて
2.代金支払は、工事進捗に合わせ、3ヵ月後の支払いをする。
3.資金の滞留期間ができるため、多額の現金が手元に残る。
4.その資金を用いて、新規出店を行い、拡大していく。

■タマホームの価格

坪単価25.8万円
これは、「延床面積」ではなく、独自の「施工床面積」というものを使って計算。

「施工床面積」とは、延床面積では含まない、吹抜けやロフト、ベランダや玄関ポーチまで床面積としてカウント。

例:延床面積:39.47坪 ⇒ 施工床面積:47.60坪
大きくなった床面積で割り戻すため、坪単価は安くなる。

坪単価25.8万円には、地盤調査や屋外の電気、給排水、確認申請料などの
付帯工事は含まれていません。それらに約400万円掛かります。
また、チョットしたオプションを加えると、約44万円のアップ。

タマホームの説明によると、「当社では、最終のお引渡し価格は、平均で坪単価36万円ほどになります。」
(タマホーム独自の「施工床面積」を使って計算した場合)

例:総工事費16,784,627円を「施工床面積」で割ると、坪単価35万円。
しかし、通常の「延床面積」で割れば坪単価44万円に。

タマホームは基本的に値引きは一切しないそう。
その代わり、金額は100円単位までしっかり出すそう。

■タマホームの営業スタイル

他の大手ハウスメーカーのように、住宅展示場に、現実離れした豪華なモデルハウスを建てるような事はしていません。
営業所の敷地内に単独で標準仕様のモデルハウスを建てています。それは、他社の豪華なモデルハウスと比べられてしまうと、あまりにも見劣りしてしまうという事もありますし、できるだけ、余分な経費を掛けないという理由によるものです。

更に、プランや仕様の打合せにおいても効率化が図られ、経費削減をしています。
注文住宅を建てる場合、一般的に打合せは引渡しまでの間、10回以上、多ければ20回を超える場合もあります。また、営業マン以外にも建築士やインテリアコーディネーターが同席します。

しかし、タマホームの打合せは数回程度で、営業マン一人だけです。見積もりも、通常は積算担当者が行いますが、タマホームでは見積作業を単純化し、営業マン一人で、できるシステムを作り上げました。

また、通常、大手ハウスメーカーでは、営業マン一人当たりの平均受注数が年間約6~7棟なのに対し、タマホームではその倍の年間12~14棟を受注しています。

このような、徹底した効率化を図ることで、営業に掛かる経費をできるだけ抑え、他社を圧倒するような低価格を実現しています。営業マンに色々なサービスをしてもらいたい。あるいは、もっと密に打合せを重ねて、こだわりの家を建てたい。という方には、タマホームは向きません。

(「家づくりを応援する情報サイト」からの転用を含む)

■タマホーム

1998年、会社設立
1999年、最初の展示場をオープン
売上推移
2001年度 44億円
2002年度 106億円
2003年度 250億円(1,437棟)
2004年度 450億円(2,847棟)
2005年度 809億円(4,870棟)

2007年度 1,290億円
2008年度 1,679億円
2009年度 1,885億円

他社で経験を積んだ営業マンの中途採用がメイン。
各自に数値目標が与えられる。

施工管理担当者1人で年間30-40棟管理。
同時に、新規工事業者の開拓、指導も行う。

住宅展示場の規模は1,000-2,000坪で2-4棟のモデルハウスと大きな駐車場。

タマホームの一拠点は、総人員15-20名(営業10-15名・設計3名・建設2名・管理2名)。

一拠点当たり、完工20億円(120-130棟)が目標。
実績は、一拠点年12億円、80棟程度。
営業は、月1棟、3ヵ月間に3棟受注できないと退職勧告。
営業の離職率高い。

タマホームは、現場管理者がいなくても工程が進むようなシステムになっている。
現場監督不要な施工システム。

工程内検査は、ジャパンホームシールド。

現場からその日の進捗状況を報告させる(電話)。
後続の関係業者に適宜、連絡(携帯メールなど)。
現場でトラブルがあったらすぐに報告させる。

専門工事業者を協力会として組織し、毎月1回以上の勉強会を実施。



740 Park Avenueを見てきました

見聞を広めるために、超一流の住宅とはどのようなものなのか、アメリカはニューヨーク・マンハッタンにある「740 Park Avenue」を視察してきました。

「740 Park Avenue」は、17階建ての超高級アパートメントで、古くは石油王のロックフェラー一族のジョンD.ロックフェラー・ジュニアが所有していたもの。

1929年に建設され、Rosario CandelaとArthur Loomis Harmonによって設計された、この建物には、今でも、多くの超お金持ちや有名人が住んでいます。

ジャクリーン・ケネディ・オナシスの子供のころの住宅であり、エスティ・ローダー創業家のロナルド・ローダー、タイム・ワーナーの元CEO、メリル・リンチの元CEO、自動車のクライスラー家の人、そして、Blackstone Groupの創業者でCEOのスティーブ・シュワルツマンが居住しています。

このことから見てわかるように、たとえば、スティーブ・シュワルツマン(Stephen A. Schwarzman)は、約8bilドル(約8000億円)のビリオネアですから、この「740 Park Avenue」は、世界でも有数の超一流の住宅であるというわけです。

ドアマンが常駐している入り口は、ちょっと凝ったつくりになっていて、荘厳な感じがします。
もちろん、道路までは、屋根がついていて、雨が降っていても濡れずに車までアプローチできるようになっていました。

総じて見ると、感覚的には、落ち着いた雰囲気で、静かで、しっかりとした建物のように感じました。
華美な装飾がされているわけでもなく、あくまでベーシックな趣の、どっしりとした大人の雰囲気の建物です。

ニューヨーク・マンハッタンのアッパーイーストサイドは、超高級住宅街だそうで、その雰囲気も満載。
歩いている人(その地域の住人)たちも、そういう高級・セレブな雰囲気でした。

ちなみに、ネットで検索したところ、「740 Park Avenue」の価格は、5ベッドルームが$38mil(約38億円)、4ベッドルームが$26mil(約26億円)となっております。
http://www.cityrealty.com/nyc/manhattan/740-park-avenue-740-park-avenue/4661

最後に、「740 Park Avenue」に関して、興味深いブログ記事を発見したので、引用しておきます。

ウォールストリート日記 : Blackstoneと740 Park Ave
大手LBOファンドであるBlackstoneの創業時代からの話について

Blackstoneは、現在までにクローズした案件総額が$120bn(14.4兆円)、傘下のポートフォリオ企業の価値を合計するとアメリカ大手企業 500社(Fortune 500)の20位にランクするという、業界最大手のLBO(バイアウト)ファンドです。最近のブログにも書いた史上二番目の規模のLBOであるTDCのバイアウトにも参加し、また近日中に$13bn(1.6兆円)と言う巨額のバイアウトファンドをクローズ予定と言うので、その規模の大きさが分かると思います。

同社はかつての業界のリーダーであったForstmann LittleやThomas H. Leeとの競争に勝ち抜き、今では業界の草分け的な存在であるKKRと互角の争いをしています。世の中のお金がパブリックエクイティ(上場株)からプライベートエクイティやヘッジファンドと言ったいわゆるオルタナティブ運用に流れて行く中で、Blackstoneは、LBOファンド、リストラファンド、メザニンファンド、不動産ファンドなどを抱える大手運用グループに成長しています。(これはLBOに固執するKKRと対照的です。)

そんな Blackstoneですが、大手投資銀行のLehman Brothersのトップを11年勤め、後に米国の商務長官にも任命されたPeter Petersonと、同じくLehman出身のStephen Schwarzmanが20年前に40万ドル(約4,800万円)の資金で始めたファンドです。

当初は2人以外のメンバーは秘書だけだったそうで、プライベートエクイティファンドが稀な存在であった創業当時は「それはもう、本当に大変だった」と、FTの記事の中でSchwarzman氏は当時を振り返っています。具体的には、最初に検討した案件19個が次々と駄目になり、488社の投資家から出資を断られたと言うので驚きです。そして創業資金の半分は、一ドルも稼ぐ前に無くなってしまったそうです。それでも断られても断られても営業活動を続け、その苦労が報われて、後にリードインベスター(Prudential Life)が見つかり、その後は日興證券、MetLife、GE、GMなどから次々にお金が集まるようになったそうです。こういった話はあまり知られていませんが、まさに起業家精神の何物でもないと言う感じがします。

そんな同社の最初のバイアウト案件は、最近よく名前を聞くCarl Icahn氏が乗っ取りをかけていたエネルギー業界の会社、USXだったそうです。乗っ取りからの救いの手を差し延べる形で行った同社への投資は大成功で、投資額$25mm(約30億円)に対し、Blackstoneは後に$600mm(約720億円)の利益を上げたと言うので驚きです。

そしてこのディールは、後にBlackstoneの投資手法の代名詞ともなる、高リターン、強固なコネクション、企業との協力関係といったスタイルにつながっていったそうです。これらは今では当たり前に聞こえますが、企業の乗っ取りが盛んだった1980年代には、企業と協力したバイアウトと言うのは非常に珍しい投資手法だったと聞きます。LBOを発明したのがKKRならば、この「信頼してくれれば常に味方につきますよ」と言うバイアウト手法を発明したのは Blackstoneと言えるかもしれません。

参考:「740 Park Avenue」のペントハウスのフロアプラン