世界的に有名な投資家であるウォーレン・バフェット。
その彼の師匠という存在が、本書『賢明なる投資家』の著者、ベンジャミン・グレアムです。
ウォーレン・バフェットをして「株式投資の本では過去最高の傑作だ」と言わしめているみたいです。
ベンジャミン・グレアムのアプローチは今では大きく「バリュー投資」として知られています。
「バリュー投資」はその株式の価値を算定して、それよりも低い価格で買うアプローチです。
低い価格で買うことで、低リスクを実現できます。
また、価格が正常化するまでの期間、保有することになりますので、長期投資の戦略であります。
ベンジャミン・グレアムの教えは大きく3つのポイントがあります。
1.株式は企業の一部
2.市場の変動に乗るのではない
3.「安全域」を考慮すること
1.株式は企業の一部
株式投資、というと財テクやバクチのように感じられる方もいらっしゃるかと思います。
ただ、株式投資というものは、本質的には、とある企業への投資と同義なのです。
それは、株式とは単なる紙切れではなく、その企業の所有権の一部を意味しているからです。
たとえば、コカ・コーラ(発行株式数:約22億5000万株)の株式を1株買ったとします。
それはつまり、コカ・コーラ社の所有権の約22億5000万分の1の割合で保有している、という意味なのです。
株式は単なる紙切れではなく、企業の所有権の一部であるわけです。その意味合いは想像以上に深い意味です。
2.市場の変動に乗るのではない
次のポイントは「市場の変動に乗るのではない」ということです。
市場の変動に乗るのではなく、当初の方針を愚直に貫くことが肝心だというわけです。
もちろん、株式市場では常時、価格が変動します。
ただ、ベンジャミン・グレアムは「市場の価格変動を予測して、利益をあげることはできない」と述べます。
市場の価格変動は、あくまで人気投票の結果としての変動です。
市場参加者の感情や人気、雰囲気によって変動します。
それに乗るのではなく、あくまで自分自身の方針、投資方針を愚直に貫き続けることが大切なわけです。
3.「安全域」を考慮すること
ベンジャミン・グレアムは堅実な投資の極意を3つの単語で言い表すと「安全域(Margin of Safety)」になると述べます。
「安全域」とは、株価がその株式の評価価値よりも安い状態であった場合のその差を意味します。
100円の価値がある株式が株価50円で手に入るとすれば、その50円が安全域です。
これが大きければ大きいほど、割安であり、リスクも下がります。
過小評価されているというわけです。
アグレッシブな投資ではないかもしれません。
ただ、堅実で、リスクの低い投資を目指されるのであれば、「バリュー投資」ベンジャミン・グレアムの書を紐解くのもよろしいかと思います。