共同住宅の定期報告

知り合いの不動産会社様からのご紹介で、
福岡市内の共同住宅の定期検査をしてきました。

定期報告とはこちらより

写真は、屋上のパラペット部分のタイルの打診検査をしているところです。
高い所で手すりもないので、、、、

こ、、、怖い、、、。

打診検査とは、写真のような棒をタイルの上に滑らせ、その音によってタイルの不具合を発見する方法です。

「打診」といいながら、シュミットハンマーみたいに圧力を加えたり、
金槌のようなもので、バンバンたたくわけではありません。

打診棒というものがあります。
タイルの上を滑らせる通常の音から、タイル下地が浮いている場合、コロコロという音がゴロゴロという篭ったような音になりますので、タイルが浮いていることが分かります。

タイルが浮いていると、タイルが剥落し、落下し、その下を歩いている人や物に危害を加えてしまう危険があります。最悪、剥落し死亡した事例もあります。

その他、検査では、地盤の状況や、工作物の状況、避難施設(誘導灯など)や避難経路などの状況の検査をします。
(避難通路となっている所に私物など置いていて通路が取れていない事が良くあります)

共同住宅では、バルコニーも避難経路になっているのです。
本来バルコニーや共同廊下には、大きなゴミや動かせないような重い機械など、物を置くべきではないのです。
今回の共同住宅は、その点はとてもよく管理されていらっしゃいました。

このような仕事も設計事務所の仕事のひとつです。

雨水利用実験住宅「雨水ハウス=マイホームダム」見学会

雨水利用ハウス見学してきました!

 見学会 2012.07.16 memo


解説する渡辺先生。

同じく住宅の建築部分を解説する一級建築士の松野尾氏。

雨水の一次貯留槽

雨水の最終貯留槽

ビオトープ

新聞にもいろいろと取り上げられております。

くみ上げ用ポンプ

以下でんのメモです。

雨水利用する目的
・水害の被害を食い止めるために、各家庭で出来る限り排水する雨水を無くす
・一気に川・海まで流すのではなく、できるだけ、ゆっくり排水する
・そのためのデータ追跡調査
・水道水の節水・雨水利用・渇水対策(トイレや洗濯、庭への水撒きに雨水を利用)
・災害時の水利用

MPレーダー 日本全国の雨量情報
数時間後であれば、およその雨量を予測可能。
(試験運用中)

福岡における水害 1999 2003

水害対策として博多駅地下・天神地下にも雨水用タンクの設置工事中(H30まで)
ここ数十年の雨量や単位時間当たり降雨量を考えると、
2006年ごろマスコミで「ゲリラ豪雨」という言葉が出だした頃より、
単位時間当たりの雨量が激増している。

元々田畑や森だったところが今はアスファルト・宅地となってしまっている。
都市化・市街化 → 雨水保持率の低下 → 河川の水位が上昇率(速度)が高まる

S30頃と現在の友泉邸エリアの航空写真と油山方向の写真
(都市化・市街化が進んでいるのが一目瞭然)

水害時の樋井川の水位上昇率はなんと10分間に2m20cm

雨水は下水道を通り河川に流れ込むが、ある一定上になると、フラッププレートが閉じ、それ以上流れなくなる。その際、低緯度にあるエリアでは下水道の逆流発生。
(マンホールからの水の噴き上げ・低地を中心に水害が発生)

対策としては、

・河川の幅を広げる
→福岡市では、地価上昇・都市化がすすんでおり、実行が難しい。

・河川の川底の掘削
→許容いっぱいまで現在工事を進めている状況。

田島では、塩止め堰がある。海水が田島附近までくる。
川底の掘削では、この堰があり外す必要があるが、そうなると、
雨の少ない時期、満潮時には、もっと山の手まで海水が上がってくる事になる。

・学校のグラウンドなどの広い公共施設内に雨水タンクの設置
防災に利用できるなど、利点も多いが、様々なからみで未実行。

・現在博多駅・天神エリアにて工事を進めているが、防災には利用できない・
貯留量に限界があるなど、疑問点も多い。

・各家庭に雨水利用タンクの設置
一番現実的だが、設置費用が高価で設置者のメリットがほとんどない。
今後補助金などの働きかけをしていく見込み。

現在、いくつかの家庭に協力してもらい、200Lのタンク設置をして実験・データ計測中であるが、あきらかになったいくつかの問題点もある。

雨水利用や水害対策についての啓蒙活動・意識付けにはなる
実際の水害対策のためには、雨が降る前にタンクを空にしてもらう必要があり、
それが、予報が当たりはずれがあるため、実際的にはその実行が難しく、
雨水の増水対策にはほぼ不適。
予報→タンクを空に→雨は降らない→タンクは空のまま→雨水利用をしたい時
(庭への水撒きなど)に水がない →結局雨が降らなければもったいないだけ。
予報があってもタンクを空にする事がなくなる。

200L/日・人 が一般的
雨水利用をするようになり、(トイレ・洗濯・庭の水やり)水道利用が100Lに減っている。
本来は風呂まで利用可能であるが、保健所等の関係で当面は難しい状況。
風呂に使う事ができれば、かなりの範囲で節水が期待できるはず。

今回は最大42tの雨水を貯留できる計画。
(生活用水用:住宅基礎部分17.3t 災害時用:駐車場下24.5t)

貯めている雨水はくさらないのか?
→くさらない。
現在のところ3ヶ月経つが、腐っている気配はない。
腐らせないために重要なのが2点。
・日光を当てない。(日光が当たると藻が生える)
・初期雨水のカット(初期はホコリやゴミなどが多く含まれるため)
初期雨水のカットには便利なシステムがあります。
「所期雨水カット装置」

・貯留された雨水は非常にきれい
屋根→樋→流入層→製水槽(4槽)→ポンプ→浄水器→トイレ・洗濯

ポンプ→ビオトープ

製水槽→満水時のみ 駐車場下貯留槽へ

4つの製水槽により、上澄みをとり、水をキレイにしていく。
さらにトイレタンクの不具合などが出る可能性があるため、浄水器を通した水を利用。
水温は20℃から22℃前後。夏は非常に冷たく、水道管に結露ができるほど。
今後この水で、冷房利用などできるのではないか。
所期雨水のカットなどをしていることもあり、そこまで汚れや汚泥のようなものはない。
ガイドラインの神谷氏によると5年間くらいは掃除なども特に必要ない事がほとんど。

雨水利用タンク設置時の注意点
・タンクの浮力
・タンクの重力
これらの構造上の検討・状況に応じて変わる(今回はGL-700くらいまではOKだったとの事)
・結露
(非常に冷たいため、夏場結露が発生する可能性がある)
→床とタンクの間に断熱材・通気管を設置
・雨水利用設備の雨水が無くなった場合にそなえて、水道水・井戸水などとの
2重配管が必要。

「雨水利用ガイドライン」(神谷氏)の設計指針を利用した。

価格に関して
建物下のタンクに関して 約240万円
駐車場下のタンクに関して 約100万円

約 10万円/1t 

水道代 利用量は約半分になるが、料金に関しては半分にはならない。
試算 10万円/年 → 7.6万円/年  年間2.4万円の削減効果?

そのうちもっと判りやすくまとめます。

個室は本当に必要なのだろうか?

前回のブログまでのあらすじ。

私は「幸せな家族のための住まい」をつくりたい。

私の考える「家族」とは、
同じ「家」に住まい
同じ時間を共有して生活する人々が「家族」

ところが、現代はこの共有する時間が圧倒的に短い。
しかし、明るい未来をつくる、という観点から見ても
家族で過ごす時間はできるだけ長い方が良い。

古代の人から見たら、現代の生活は夢のような「明るい未来」だ。
もちろん、解決すべき課題も多いが、
その現代の生活の恩恵を私達が受けているのは、
先人の知恵や工夫や労力の継承があったからであり、
その継承の最も基本的な単位が「家族」であるから。

そのために、
個室は必要最小限。
家族の時間が増える住まい。
がいいのではないか、という事を書きました。

住まいの仕事をしているといろいろな家族の要望を聞きます。
10家族あれば、10家族の要望があっていいと思うのですが、
個室に関しての要望に関しては、皆さん同じ要望です。

6畳の子ども部屋2部屋と、寝室、それに1階には来客用や将来ご両親が来たときのための和室。
(お子様が1人なら子ども部屋1部屋、3人なら3部屋。)

私は言いたい。

1人1部屋、、、本当に必要ですか?

たくさん勉強されて、いろいろな間取りを見慣れていらっしゃる方が、住まいの要望をおっしゃるとき、実は皆さん、この部分を疑問にも思わないようなのです。

・・・そんなに必要ですか?

これは、結構かなりの人数の方を敵にまわす発言!?
・・・かもしれません。

しかし、だからこそ、こんな挑戦的な発言があっていいでしょう?(笑)
TV、CM、新聞、雑誌、インターネット、、、なんでも与えられた情報や、操作された記事からの判断で、人の行動や価値観は簡単に変わってしまいます。
私は、そのことに気づいてから、なんでも、当たり前、と信じられている事ほど、その背景や、製作者の意図を、一度は考えた方がいいと思っています。

・・・さて、話を住まいの話に戻しますね。

予算や敷地の関係により、住まい全体で確保できる面積には限りがあります。

また、共働きが多くなっている昨今、お手伝いさんでも雇わない限り、あまりに広すぎる住まいというのは、掃除や手入れが行き届きません。

そんな状況の中、部屋が欲しいと要望どおりにいくつも増やしていけば、空間は細切れになり、日当たりや風通しの悪い部屋ができ、部屋あたりの面積はどんどん狭くなり、掃除もしにくくなります。

また私は、個室化→孤立化のような気がしています。

人生の時間は短くて、家族でいる時間はもっと短いです。
いったいどの位、家族と一緒にいるでしょう?

平日では、朝の1時間、夜寝る前の数時間。

そして、休日に子どもと一緒にいるのは、小学生の低学年位までです。
高学年になると、友達と遊ぶ事が多くなり、中学生、高校生になると、
友達と出かけたり、部活に行ったりします。塾や予備校にも行きます。

そのうち、進学や就職。

実は、家族で過ごしている時間は、そんなに多くありません。

そんな中でも、なるべく多くの接点を持つ事ができれば、
家族の「継承」はできるのでは、、と思っています。

「自立心のために、自分の部屋をあげたい。」
「自分のものを管理・整理させたい。」

・・・わかります。
でしたら、部屋ではなく、空間をつくってはいかがでしょうか?
例えば、低いローボードで緩やかにエリアを作る、
棚を組み合わせて机と本棚を作る。など。

子どもの不便さは、親の思いやりでなんとか工夫してほしいと思います。
その要望は、子どものわがままでしょうか?
実は、親のめんどくさい、、ではないでしょうか?

「落ち着いて勉強してもらうために部屋をあげたい。」

実際にお子様は、子ども部屋で勉強していますか?

現代の子ども達が集中して勉強する空間は、充実した子ども部屋ではありません。
小学生くらいまでは、家族の目線がある、ダイニングやリビング。
中学生、高校生では、塾や予備校や学校の図書室。
実際は、このようなケースが多いようです。
もちろん、ごく一部の真面目で集中力のあるお子様は自室での勉強ができているようですが。

胸に手を当てて自分で思い出してください。
あなたは、中学校の頃、高校の頃、どこが一番集中して勉強できましたか?

こう質問すると、たいていのご両親は、
「そういえば、自分の部屋で、漫画読んでました。足音がすると隠してました。」
「塾か図書館で勉強してました。」
そうおっしゃる事が多いのですよ。

自分は、子ども部屋で勉強していないのに、自分の子どもは、子ども部屋で勉強をする、、、と幻想を抱いている方は結構多いのに驚きます。
きっと、ホームドラマの影響でしょうね。

また、お子様の受験期やテストの時期、家族で協力してあげてみてはいかがでしょうか?

娘が、息子が勉強をしている間、TVを消す。
一緒に仕事をする。また読書をして過ごす。
塾から帰ってきたら、リラックスさせてあげる、漫画を読んでいても、
今まで頑張っていたのだから、暖かく見守ってあげる。
また、小学生、中学生だったとしたら、一緒にテストの問題を考えてあげる。
学校が私立の進学校などでなければ、中学生くらいまででしたら、教科書中心になると思います。
一問一答式で、対話しながら、テスト勉強につきあってあげてもいいでしょう。

旅行やレジャーでは味わえない、家族の一体感を感じられると思います。

「もうこんなに難しい問題をやっているんだな」
とか、
「いまどきの小学生はこんな事を習うんだな」
とか、新しい発見もあります。

年頃の娘さん息子さんと、お父さんお母さん。
友達中心になっていく年代でも、とれるコミュニケーションがあると思います。

そんな事言ったって、
「仕事で疲れているんだ!」
「家事で忙しいのよ!」
「家でくらいリラックスしてTV見たい。」
・・・わかります。

ですが、お子様も、学校で勉強をし、複雑な人間関係を経験し、部活をこなし、
毎日毎日新しく勉強する事はたくさんあり、結構な労働量です。
その上で、学校や塾が終わった後、テストや宿題のために、さらに勉強しているのです。

これは、もしかしたら、仕事をしている、、という両親よりも過酷な環境かもしれませんよね。

子どものために、勉強部屋、個室を与えている、、、というのは、本当に子どもを愛しているからでしょうか?
それよりも、リラックスできる環境を、、、と思われてみてはいかがでしょうか?

どちらが、お子様への愛だと思いますか?

「でも、どうしても、個室がいる事情ができた。」

例えば、中学・高校の間だけ、という事であれば6年。
小学校の高学年を含めても9年です。
35年ローンを支払うとして、そのうちたった9年。
であれば、その間だけ、仕切って使う、、という事も可能だと思うのです。
ですが、最初から仕切ってある個室を作ると、その後広げる事はとても難しくなります。

個室は必要最小限。
家族の時間が増える住まい。

私はそんな住まいがいい、、と思っています。

幸せな家族って何でしょうね?

お金をかればかけるほど、きっと思い通りの個性的な住まいができます。
思い通りではありますが、
そこに家族の幸せや愛がなければ、単なる入れ物だと思うのです。

家族の幸せ、愛が本当にあふれているのなら、
どんな住まいであったとしても、その家族の住まい方がその家族らしさになっていきます。

私もまだまだ発展途上ですが、
幸せな家族をサポートする住まいを
ずっと考えて行きたいと思います。

皆様も、ぜひ、住まいを考えられる際、一度全ての事に疑問を持って
その選択は
「エゴ」なのか
「見栄」なのか
「めんどくさい」なのか
「なんとなく」なのか
「お得感」なのか
それとも
「家族への愛」なのか・・・

考えてみてください。

家族で過ごす時間は長い方が良いというのはどうしてか?

前回のブログで、
現代は100年ほど前に比べると、
家族で過ごす時間は圧倒的に少なくなっているが、
現代であっても、なるべく多く家族で過ごす時間は大切だと述べました。

それは、明るい未来を創るという観点からみても、
正しいと思う考えを述べます。

なぜか?

長い時間のふれあいにより、継承されるものがあるからです。

私達は過去の人々の知恵や工夫や労力から作られたものを使って現代の生活をしています。

大昔の人びとから考えると、おそらく現代の日本は
「明るい未来」なのです。
水道が完備され、水洗トイレがあり、スーパーに行けば食べ物はいつでも手に入り、電気はボタンひとつで通る。
携帯電話で、いつでもどこでも連絡がとれ、地域の情報も手に入る。

稲を育てるのに1年かかり、
服を作るのも何日もかけ、
水を毎日遠くの川まで汲みにに出かけ、
住まいの設備は火くらいしかない、
肉や魚を食べるのはそれこそ、1ヶ月に数度。

そういう生活をしていた人びとから見れば
現代は間違いなく明るい未来だと思うでしょう。

もちろん、これらの恩恵の背景には、解決しないとならない問題があることは否定はしません。
空気・水質・土壌・食品の汚染や環境の問題や、
生態系への影響の問題、
手軽すぎる事による感謝の欠如、
人間関係の希薄化。

しかし、では、縄文時代に戻る事が幸せなのか。
というと私はやはり、そうは思いません。

やはり、先人が築いてきたものがあったからこそ、
現代の恩恵を受けているのだと思うからです。

そして、過去からの知恵の集積で、これらの問題も
解決していく事が明るい未来につながると思っています。

先人の知恵や労力や工夫はきちんと現代に継承されているのです。

そして、この継承の最も基本的な単位が
「家族」だと思っています。

親からこどもへ。
こどもから孫へ。

たとえ、相容れない親子関係であったとしても、
両親を反面教師としていたとしても、
同じ住まいで暮らした時間の中に、
受け継がれるものがそこにはあるのです。

それは、たとえ会話を交わさずとも、
一緒に旅行やレジャーに行かずとも、
「家族」ならではの距離感を保ちつつ日々の生活の中で
受け継がれていくものだと思います。

ですから、明るい未来を創る、という観点からみても、
家族で過ごす時間は長い方が良いと思うのです。

そこで私は、これからの住まいづくりにおいて、次の提案をしたいと思います。

個室は必要最小限。
家族の時間を増やすための住まい。

そういう住まいを創り、家族ですごす時間を増やしたいと思っています。

住空間は広ければ広いほど良いのでしょうか? 
部屋はたくさんあったほうが良いのでしょうか?

またまた長くなりますので、再度次回に続けます。