乾杯のいえ

福岡市早良区内野に建つ木の家が「乾杯のいえ」です。
外壁には天龍焼杉を全面に使用しています。
また、木製サッシとナチュラルでありながら、素朴さが感じられる住まいです。

あすなろ建築工房(横浜)関尾社長が訪問された時に書かれた文章

先日、知人工務店さんのお客様宅での撮影に同行させて頂きました。

そのお家の住まい手さんは「ミニマリスト」と呼ばれるシンプルな生活をされている方でした。玄関入った瞬間に「モノが少ない!」と驚いてしまうほどのシンプルさでした。

私たちが当たり前のように「家にあるもの」と思ってしまっているテレビもソファーもありませんでした。リビングには杉のフローリングの上にクッションが一つ置いてあるだけ。

まだ生まれたばかりのお子様がいらっしゃるのですが、ベビー用品で溢れかえることなく、ベビーバスケットが一つあるだけ。

キッチンも土鍋とフライパンと鍋があるだけ。食器も戸棚一つに収まる量だけ。箸もフォークも家族分だけ。

さすがにここまでの「モノが少ない」生活をされている方は初めてだったので、興味深く話をお伺いさせて頂きました。

ミニマル生活されているご家族のお家は、ご家族の生活スタイルが確立され、その生活スタイルをしっかりと読み込んだ設計がなされたお家でした。

冒頭にモノが限定されていたことをご紹介しましたが、いちばん驚いたのが、文房具でした。カッターもハサミもボールペンもお持ちのモノは一つずつだけでした。それぞれに磁石が取り付けてあって、それをパントリーの戸棚の壁に貼り付けてありました。

こんな感じでこのお宅では、それぞれの居場所が決められており、必要なモノが必要な場所に必要な量だけが収納されていました。

モノには居場所がしっかりと定められていて、その居場所にいなければ「誰かが使っている」ことが「一目で分かるもの」でした。

その住まい手の方は「お子さんの誕生」をきっかけに、モノに執着した生活から離れ、シンプルな生活に移行されたとのことでした。

「どれにしようか」「かたづけ」などから解放されることにより、思考が簡単になって脳が楽になるともお話されていました。

なるほど、モノに溢れているから、悩むのですね。

身の回りのものがシンプルであることで、行動の過程に「悩み」が少なくなり、行動がシンプルになるそうです。

我が家も同じですが、家の周りにモノで溢れていませんでしょうか?

「ママでないとモノの場所が分からない」なんてお家は多いと思います。

家の中にあるものがシンプルだと、家族それぞれが、モノの場所を理解できるとのこと。

確かにそうですね。

悩むような同じモノを置かない、持たないことから始まります。

つまり「モノ自体を減らすこと」です。

減らすためには「捨てる」「買わない」ことから始まります。

モノを限定することになります。

「モノを1つ増やす」時には「モノを1つ減らす」のだそうです。

お子様のおもちゃ箱の説明がとても分かりやすかったでご紹介します。

二人のお子様のおもちゃは30cm×40cm×20cm程度の4つの箱に収まるものだけに限定されていました。

子供たちも家族のルールの中で、この箱から溢れてしまうおもちゃは持つことが出来ないとのこと。

ということもあって、家族でマクドナルドに行った場合、子供たちはハッピーセットのおもちゃが「自分にとって本当に欲しいものか」をその場で考え、そのオマケのおもちゃが、家の箱の何かと引き換えになる価値があるかどうかを判断します。

その結果、「ハッピーセットを選ばない」という判断を子供ながらにするとのことでした。

まだ小学校にも上がっていない小さなお子様でしたが、モノの価値をしっかりと自分の頭で考えているということですね。

そして、家の中にあるものは「とっておきの一つ」に限定されているとのことでした。

収納アドバイザーの『こんまり』さんが「ときめくかどうか?」で判断されているのと同じように、自分にとってかけがえのない一つなのかどうかで判断しているとのこと。

我が家には、ときめかないものがたくさんあります。(^^;

これではダメですね。

これから整理したいと思います。

そして、もう一つ、モノを少なくするための秘訣をお伺いしました。

「隠さないといけないものは買わない」とのこと。

「隠さないといけないもの」とはお客様に見せたくないもの、または自分たちも見たくないもの、ということです。

お客様に見せたくないもの自体が家の中には無いので、お客さんを通せない部屋もなく、片づけをする必要もない。

いつだれが家を訪問しても、快く家の奥まで通すことが出来る。

実際に先日も見ず知らずの私たちでしたが、自由に家の中を見せて頂きました。

「隠さないといけないものは持たない」ことで、カッコ悪いものは持たなくなります。

掃除機も塵取りもデザイン性に優れた見ていて嫌じゃないものを選ばれていました。

クローゼットの中もスッキリしていて、扉もありません。

家全体が開放的でとても住まいやすいものでした。

写真は掲載用と思ってしまうほどモノが少ないですが、すでにお引越しされてから3年経っているとのことです。

上記の写真は私が拝見したのとほとんど同じ状態です。

3人目のお子様がお生まれになったので、ベビーバスケットが増えている程度で、後はなにも変わっていない状況でした。

自分にとって本当に必要なとっておきのモノだけが身の回りにあり、それらはすべて見えるところにあり、過ごしやすく、行動にいちいち悩まない生活。モノが少ないので、収納スペースは少なくてよく、家は小さくコンパクトになります。

隠さないので、扉や家具が少なくなります。

コンパクトで扉や家具の少ない家は、建設コストも抑えることが出来ます。

家づくりを行う場合には、家に置くモノについても考えを巡らせていただきたいと思います。

家は大きくつくると、当然ながら建設コストも維持費用もかかります。

必要最小限に小さくコンパクトにつくることが出来れば、メリットはかなり大きくなります。

ご紹介したお家は極端な例かもしれませんが、「自分にとって本当に大事なものだけに限定する」「一つ増やしたら一つ減らす」「隠さないといけないものは持たない」などの考え方は、今後家づくりをしていく方にとっては参考にしていただけるものと思います。

是非家づくりをお考えの際には、あるものを全部収納しようとせず、必要なモノを吟味し、一度シンプルなところから足し算で考えていくことをお勧めします。

本日は「自分の家に必要な収納量モノを減らす秘訣」のお話でした。

ミニマリストの暮らす30坪の木の窓がある焼杉の家(乾杯の家)

雑誌に掲載されました!

大変光栄なことに、このお家を雑誌に掲載いただきました。

建築知識ビルダーズ49号「小さな家の間取りと庭」にご紹介していただきました

住宅専門誌『建築知識ビルダーズ』(発行:エクスナレッジ/掲載号:Summer 2022 no.49/発行日:2022年5月27日)の特集『小さな家の間取りと庭119』の中で当社事例が4軒・5箇所を掲載いただきました。ありがとうございます。
【雑誌】建築知識ビルダーズ49号「小さな家の間取りと庭」に4軒・5箇所ご紹介していただきました住宅専門誌『建築知識ビルダーズ』(発行:エクスナレッジ/掲載号:Summer 2022 no.49/発行日:2022年5月27日)の特集...

伊礼智様(著名な建築家)からコメント付きで掲載いただいております

庭の築山のうえにつくられた小さな居場所。子どもたちが外(庭)をとても楽しんでいる様子が伝わってくる。本棚を机代わりにしている写真からも、この家が生活者の目線で設計され、家を楽しむ余地を残しているところに好感がもてる(伊礼)

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