俵屋旅館は京都の老舗旅館。
色々な噂があります。国内外の超一流の有名人がリピーター。1年を通して予約困難なので、なかなか宿泊できない。
そういった噂があります。
公式ホームページがないというのが最大の特徴・笑
ですから、ネット上の情報量は限られます。なので、実際のところ、宿泊してみて、どうなのかを詳細レビューしつつ、個人的な口コミをお伝えします。
俵屋旅館の概要
俵屋旅館は客室18室の小さな旅館。
創業は約300年前だそうです。元々、島根県浜田市にあった呉服問屋が京都に支店を出した際、本業の傍ら、藩士たちに宿を提供するうちに評判を呼び、旅館業が本業になったそう。
当主は代々、岡崎和助さん。有名なのは11代目当主・佐藤年さん。
1949年に国際観光ホテル整備法が制定され、国際観光旅館の要件に10室以上の客室などの要件があり、それをクリアするために設計を依頼したのが、吉村順三さんでした。
吉村順三さんが設計
住宅建築に携わる者として着目すべきは昭和の時代に増築された部分が吉村順三さんによるものだという点。

もちろん、表面的な意匠や設えなど、目に見えるところは大いに俵屋旅館の当主・佐藤年さんの好みによって改修がなされているらしい。
実際、ほぼ1年に1室のペースで俵屋旅館の客室は更新され、佐藤年さんのセンスで磨かれているそうです。
ただ、そうはいっても、構造、空間構成、配置、高低差など、建て替えなければ変更できない部分も多いわけで、とりわけ空間そのものは表面がどうあれ、建築的に残されているので、吉村順三さんらしさは残っていると感じます。
ちなみに、俵屋旅館の工事は有名な大工集団の中村外二工務店がされているそうです。
ちなみにこの俵屋旅館に影響を受けて吉村順三さんに建築設計を依頼した旅館は「文珠荘」さんと「大正屋」さんが有名です。

書籍にもなってます
俵屋旅館は書籍としても紹介されていたりします。
俵屋の不思議
俵屋の不思議は俵屋旅館の舞台裏などを「家庭画報」連載を加筆訂正したものです。俵屋旅館の客室にも置いてありました。
俵屋相伝
俵屋相伝は11代目当主・佐藤年さんが書いた本です。
写真も多く、ビジュアル本としてもいいのかな、と思います。当主自ら書いた本なので、参考になりますね。
これも、俵屋旅館の客室に置いてありました。
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スティーブ・ジョブズの定宿だった俵屋旅館
アップル社共同創業者の一人で有名なスティーブ・ジョブズ(1955-2011)。
彼は日本びいきで、禅を精神的支柱として、京都を愛していました。スティーブ・ジョブズが定宿としていたのが、この俵屋旅館です。
ちなみに今回、宿泊した客室はスティーブ・ジョブズが宿泊していた部屋になります。
実際にリピーターの方が多く、来年の予約をされることも多いので、客室数が18と少ないことから、予約困難なこともあり、なかなか泊まりたくても泊まれないということだそうです。
俵屋旅館の住所・アクセス・駐車場・チェックインチェックアウト情報
ここでは俵屋旅館の住所・アクセス・駐車場・チェックインチェックアウト情報についてご紹介します。

俵屋旅館の住所と電話番号
俵屋旅館の住所と電話番号です。
京都の住所なので、わかりづらいのですが、下記のGoogleマップの地図で伝わるように思います。
電話番号はこちらのほうに宿泊予約などでお電話されるかと思いますので、大事な電話番号になります。
- 住所:京都府京都市中京区麩屋町通姉小路上ル中白山町278
- 電話番号:075-211-5566
市役所や中心商業地に近い立地で利便性も高いです。とは言っても、外にほとんど出てませんので、あまり立地を活かした活動はしてません・苦笑
俵屋旅館へのアクセス方法
JR京都駅から自動車で行ったのですが、15-20分程度といった印象です。
タクシーでJR京都駅から15-20分ということですね。
ちなみに関西国際空港へのタクシー料金は37,000円前後だそうです。
俵屋旅館の駐車場
駐車場は安心できます。
俵屋旅館の敷地内に駐車場があるわけではないと思うのですが、バレーパーキング方式で車を横付けすると、係の方が車を駐車しに行ってくれます。
また、出発のときも、チェックアウト時間を伝えていれば、車を旅館玄関前に付けてくれますので安心です。
何より楽ですね。
俵屋旅館のチェックイン・チェックアウト情報
俵屋旅館のチェックイン・チェックアウト情報は次の通りです。
- チェックイン:15時
- チェックアウト:11時

チェックインは15時で15:30くらいに到着しました。
16時過ぎや17時くらいにチェックインの方も多かったですね。
チェックアウトは11時で、複数の方がチェックアウトするのでゴタゴタしてた印象はありますね。
玄関前にタクシーも着きますし、道も一方通行ですが信号待ちありますし、車が多い印象ですね。
温泉や大浴場はありません
旅館と言えば温泉や大浴場といった広々とした浴室がウリということが多いです。
ただ、俵屋旅館には温泉があるわけでも大浴場があるわけでもありません。
だからこそ、良いと感じるところも多いです。
ちなみに浴槽は高野槇(こうやまき)という木でできておりまして、高野(こうや)は高野山エリアのことで、和歌山ですね。槇(まき)は「まきの木」と呼ばれまして、樹種のことです。高野エリアの槇の木という意味です。
俵屋旅館への宿泊予約は電話かJTB
俵屋旅館は公式ホームページがありません。
ですから、宿泊予約は電話かJTBになります。
JTBが3部屋くらいおさえているそうで、それはネット予約できます。
あとは電話ですね。
電話予約は初めてだったので、結構緊張な感じでしたが、対応もきちんとされてますので、大丈夫でした。
実質的に電話予約だけというのは、今どきなかなかないように思いますが、これも風情と考えますとまあいいかなという感じです。
お部屋タイプの一覧

- 暁翠庵
- 松籟
- 竹泉
- 招月
- 楓
- 常盤
- 茜
- 栂
- 栄
- 寿
- 泉
- 富士
- 翠
- 桂
- 孔雀
- 鷹
- 霞
- 東雲
ちなみに部屋の広さが最も広いのは「鷹の間」だそうです。
ただ、木造で2階だそうなので、子連れで人数が多い私どもは次に大きく新館(と言っても50年前に建築ですが)で鉄筋コンクリート造の1階にある「暁翠庵」の部屋となったようです。

お部屋毎の設え(美術品や掛け軸、調度品)は定期的に変更

お部屋にはそれぞれ、異なる設え(美術品や掛け軸、調度品)がされています。
具体的には次の写真の通りです。
他にも細かいところで設えが異なっていたりするのですけれども、メインのところは上記の写真の通りです。
この設えは毎月のように定期的に変更されるそうです。

季節毎、変わるものも多いみたいですが、毎月変わるものも多いようです。
「子連れで安心!」ではない。対応は良いですよ
そもそも子連れファミリー層はメインの客層ではないですから、1日に子連れ客が来る数を制限しているようでした。
また、重要なところは「子どもの年齢」ですね。
子どもといっても中学3年生や高校2年生といった大きな子どもが多いそうで、普通の大人みたいなポジションなので、普通の部屋に案内でしょう。
私どもみたいな0歳児、未就学児、小学2年生という小さな子ども連れファミリーはかなり特殊な存在でしょう。「18歳以下の子ども連れお断り」の宿泊施設もありますから、子連れOKな俵屋旅館はありがたいです。
ただ、かといって「子連れで安心!」なわけじゃあないです。子連れで安心なのはディズニーランド周辺のホテルがそういう感じですよね。
子連れで安心ではなく、気を遣うことは間違いないです。ただ、スタッフのみなさんの対応は良く、歓迎はしてくれますから、ありがたかったです。
俵屋旅館の外観
お向かいは「柊家」旅館で京都御三家と呼ばれる旅館だそうです。「俵屋」「柊家」「炭屋」で御三家らしいです。


外塀
歴史を感じさせるクラシカルな外塀。
入口:室内へのアプローチが素晴らしい

入口からクランク状に入っていくところが空間的に秀逸ですね。
玄関
屏風がインパクトありますね。


坪庭
入口から入って行って没入感を高めたところに玄関で室内に入ったな、というところで、坪庭で大きな演出。インパクトありますよ。

売店エリア

宿泊した部屋「暁翠庵(ぎょうすいあん)」特別室
今回宿泊したお部屋は特別室「暁翠庵(ぎょうすいあん)」。
アップル創業者の故・スティーブ・ジョブズが宿泊していた部屋として有名です。

間取りとしては、小下がりの落ち着き空間+書斎、ベッドのある寝室、メインの和室、水まわりという構成です。



室内






庭


俵屋旅館のお茶菓子(ウェルカムスイーツ)
俵屋旅館のお茶菓子(ウェルカムスイーツ)は有名な「わらび餅」。
このわらび餅は容器の竹素材も冷たく冷やされており、また、食べたらとろけるような食感が特徴です。
ちなみにこの「わらび餅」は有名で、俵屋旅館運営のカフェでは2,000円くらいするそうです。

床の間
床の間にある掛け軸は「酒井抱一」という方が書いた「月に鹿」という掛軸になります。江戸後期の作品だそうです。

お風呂
お風呂は前述の通り、高野槙の浴槽を使ったお風呂です。

お風呂からは庭を眺めることができ、ちょっとした露天風呂感覚です。

アメニティ
アメニティは持ち帰り可能で、最も有名なのは俵屋旅館の「石鹸」です。

俵屋旅館の石けん
俵屋旅館で有名なのは「石けん」です。香りの配合や原料など、色々とこだわられているそうです。
浴衣や足袋

オリジナルのパジャマも着心地が良い
オリジナルパジャマで寝ましたけれども、着心地が良い素材で作られていて、また、個人的にはボタン式ではなく、ボタンが一つありますけれども、ホック式で着脱が容易というところがいいですね。
俵屋のふとん
長女(7歳)が「ベッドがよかった」と言っていたので、相当に良かったのだと思います。
私はメインの和室でふとんで寝まして、同じマットレスとふとんだと思うのですが、ふんわりしつつ硬さもあるという印象でよかったですが、明確に語れるほどの違いはわからなかったです。
トイレ


冷蔵庫の中身
冷蔵庫の中身は無料で、瓶ビール、ミネラルウォーター、爽健美茶、レモンウォーター、トマトジュースがラインナップされています。
俵屋旅館のオリジナルスリッパ

俵屋旅館の内観

俵屋旅館にはクラブラウンジがあるわけではないですが、似たようなスペースはあります
俵屋旅館はそもそも客室数が18室ですから、スモールラグジュアリーホテルで、すべてがクラブフロアです。
高麗洞(図書スペース)

高麗洞と呼ばれる図書スペースです。

籠り感のある空間で、置かれている蔵書を自由に閲覧することができます。ゆったりと時間を過ごすことができます。

座庭(喫煙室)



2階・アーネストスタディ(書斎)
17時-22時限定で開いているのが「アーネスト・スタディ」。
俵屋旅館に多大な影響を与えたと思われる当主のご主人様でアーネスト・サトウさんの書斎を再現した空間。
アーネスト・サトウさんはニューヨークでニューヨークタイムズなどの写真家で、大学教授でもあったそうです。
特徴的なベア・チェア
目を引くのはベア・チェア。
2022年時点で300万円くらいでしょうか。20年以上前だと100万円切るくらいでしょうか。
実際に座ると包まれる感覚でいい椅子ですね。

籠り感あるスペース+デイベッド

またアーネスト・スタディで特徴的なのは籠り感あるスペースにデイベッドです。
場所は建物の2階なのですが、間近に緑を眺めることができます。
天井が低く、小下がりになった空間で籠り感ありつつ、デイベッドで横になる・・・いいですね。
小物などのセレクトがポイント。ビジュアルレベルをグッと上げますね。同じ吉村順三さん設計の「脇田山荘」もオーナーが美術家なだけあって小物のセレクトが秀逸でした。

廊下
俵屋旅館の良さのひとつが「廊下が美しい」です。
廊下がうまく絵になるところがすごいですよね。



俵屋旅館のお料理
俵屋旅館のお料理はミシュラン1つ星らしく、お料理も魅力の一つのようです。
夕食










朝食
信州のオリジナルで作っている飲むヨーグルト。濃くておいしかったです。




高級魚ぐじ(甘鯛)の焼き物。
普通はないそうなのですが、特別室なので料理も上のグレードで提供。
湯豆腐。
湯豆腐は炭火の入った桶で提供。アツアツでお届け。

長女(7歳)はベッドとこたつと食事がいいと言ってました
長女(7歳)に「俵屋旅館のどこがよかった?」と聞いてみました。
すると、「ベッドとこたつと食事がよかった」と言ってました。
ベッドの寝心地がよかったらしく、また、こたつ(笑)という掘り炬燵だったのですが、それが珍しくよかったそうです。加えて、食事も渋い趣味なので、趣味があったようです。

俵屋旅館の宿泊記・レビューが少ない理由
俵屋旅館にはホームページがありませんし、あまり宿泊記やレビューをウェブ上で見かけることがないです。
その理由がわかった気がしました。
- 客層のメインは年配女性
- ネット使うとか別に要らない
客層のメインは年配女性
実際に宿泊してみてですが、チェックインで行き交うお客様方を拝見しますと、大体が年配女性だったり、年配のご夫婦だったりです。
年齢層は高め。
仲居さんに色々と聞いてみますと、やはり私どものような未就学児や赤ちゃんのいるファミリー層はほとんどいなくて、大体が1人か2人だそうです。
私どもは思いっきりファミリー客なので、俵屋旅館の主要な客層ではないですね。
そもそも「婦人画報」「家庭画報」といったセレブ女性・マダム向けの文化雑誌に色々掲載されてますので、やはりそういった雑誌の読者層がまさに客層と言えるでしょう。
ネット使うとか別に要らない
これは客層がマダム向けというのも大きいと思うのですが、具体的には「wifiが激遅で、ないが如し」というレベルからも察しがつくのです。
そもそもビジネスマン向けではない、「wifiとか使わない世界」をプッシュしておりますので笑
ネット使うとか別に要らない層が多いので特に問題にならないのでしょう。
そういうわけで、ネット住民などいるはずもなく、ネット上に情報発信がなされないのでしょう。
俵屋旅館の感想
俵屋旅館の感想なのですが、3つの点が強く感じたことです。
- 設えのレベルが尋常じゃない
- 手入れの具合が尋常じゃない
- 空間のレベルも尋常じゃない
設えのレベルが尋常じゃない
設えについては、前述しましたけれども、定期的に変更しているところがすごいです。
定期的に変えているということは、毎月であれば12セットの設えがあるわけで、保管しておく手間などを加味すると、結構大変だということが想像できます。
他にも、オブジェとして置かれている小物もおしゃれで、センスを感じさせる物が多いです。

加えて、嗅覚にも訴えかける工夫がさまざまにされています。
おしぼりの香り、トイレの香り袋、お風呂の高野槇の浴槽、湯豆腐のヒノキの桶、、、
すごいいいですよ。

手入れの具合が尋常じゃない
建物そのものが歴史に新しさを更新していく方針ですから、ピッカピカ新品というスタンスではなく、手入れしてきれいに使っていく方針でしょう。
ただ、その手入れ具合が尋常じゃないですね。
たとえば、ウリと思える「庭」です。
落ち葉がないです。
異常事態です。毎日落ち葉拾って、一枚もないように管理しているようです。チェックアウト後にされているようです。
また、雑草一つなく、苔もきれいに育てられています。
ともすれば、雑草が目立つのが庭の常。これがまったくそういう気配すらないのは自然なのに不自然な話。他にも汚れていそうなところも綺麗に掃除されてます。掃除の徹底もすごいです。
我が身を振り返って、おもてなしと申しますか、掃除の徹底ひとつ実現したいところです。
空間のレベルも尋常じゃない
そもそも吉村順三が設計した建物をベースにしているので空間のレベルは高いのです。
その上でアーネスト・サトウさんや当主・佐藤年さんの好みのテイスト、北欧家具だったり、オブジェだったり。
そういう小物を置いた空間レベルが高いです。
小物演出だけでなく、表面の素材。見せ方といったところでしょうか。
小下がり空間もいいですね。開口部の切り取り方もとてもキレイで、小下がりからの地面と繋がっている感じも素晴らしいです。
最後に
俵屋旅館を実際に宿泊して体験してみてですが、すごく高いレベルでオペレーションされているからこその完成度ですね。
たとえば、入室時にすでにお風呂お湯が張ってあって、いい温度であること。
お茶用のポットにお湯が入ってあって魔法瓶なので(シルバーのお洒落なポットです)保温されている状態。
冷たい水もあって、それもまた保温されていて冷たい水の状態で飲めるということ。
言葉にすれば簡単で、やっていることはとてもシンプルなのですが、すべての客室ですべての日にそれを継続していくとうことは並大抵の努力ではないと感じます。だからこそ、他の旅館で体験しないのでしょうけれども。

単に設備がいい、建物がいい、設えがいい、というだけではなく、「おもてなし」と呼ばれるような日常のオペレーションこそが他の同業他社の旅館とは異なるような気がします。
もちろん、設えなんかは結構、同業他社よりもレベルが高いですけれども。
あとは客室数が少ない、規模感的に小さいのもいいですね。大箱になると、規模が大きくなり、全体的に大味になります。
設えも、手入れも、オペレーションも。
相手をしないといけない宿泊客数が多いですから、すべての完成度を上げづらくなります。
端的に言って「すべての要素における気配り」ができる客室数は18室とかの小さな規模じゃないと厳しいんでしょうね。

さすがに高い評価を得ている旅館なだけはあるな、と我が身を振り返って思いました。反省しまして、色々と気配りをしていきたいと思います。




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